【なろう】本好きの下克上がとても良い作品だった件
最近、「なろう小説」を結構読んでいます。
先日は無職転生を読破して(これもあとで感想を書きたい)次に読んだのは評価の高かった「本好きの下克上」なのですが、とても良い作品だったので感想を書きたいと思います。
【なろう】本好きの下克上がとても良い作品だった件

なろう小説とは・・ 「小説家になろう」という同人小説を自由にupできるサイト。
基本的に中年には評価の低いサイトです。
「主人公が1話でトラックに轢かれて死ぬ」
「チート能力を得て異世界に転生し大活躍」
こういう話が多いイメージが強いと思います。
「ご都合主義」「オレtuee!」なイメージですかね。
そういう小説も設定や作者様の技巧で面白い小説が非常に多く、一概に否定するものではないのですが。
今日は「本好きの下克上」のお話を。
コレは「異世界転生モノ」というジャンルとしては異色なのだと思います。
amazonジャンルでも「ライトノベル」ではなくて「文学」になってますし。
先日は無職転生を読破して(これもあとで感想を書きたい)次に読んだのは評価の高かった「本好きの下克上」なのですが、とても良い作品だったので感想を書きたいと思います。
【なろう】本好きの下克上がとても良い作品だった件

なろう小説とは・・ 「小説家になろう」という同人小説を自由にupできるサイト。
基本的に中年には評価の低いサイトです。
「主人公が1話でトラックに轢かれて死ぬ」
「チート能力を得て異世界に転生し大活躍」
こういう話が多いイメージが強いと思います。
「ご都合主義」「オレtuee!」なイメージですかね。
そういう小説も設定や作者様の技巧で面白い小説が非常に多く、一概に否定するものではないのですが。
今日は「本好きの下克上」のお話を。
コレは「異世界転生モノ」というジャンルとしては異色なのだと思います。
amazonジャンルでも「ライトノベル」ではなくて「文学」になってますし。
取り敢えず「本好きの下克上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~」の基本情報から。
※色々書いていくので作品の内容に触れます。私は作品の面白さを損なうようなネタバレはしないつもりですが、ネタバレって否定するタイプの人はまず本編全部読んでください。
本好きの下克上 https://ncode.syosetu.com/n4830bu/
2013年9月から2017年3月まで。3年半の連載で完結しました。
なろう小説は同人である以上、「作者が飽きて完結しない」の作品もあるのですが、本当に多くのファンの応援の中、素晴らしい完結を得ました。なんというかとても爽快な読後感です。
1、設定など
第一話にて。本好きの主人公 「本須 麗乃(もとす うらの)」は大学で司書の資格を取り、図書館に就職も決まった状態で、地震で本に潰されて亡くなります。享年22歳。
まぁ1話で死ぬのはテンプレといえばテンプレ。なろうでは気にしたら負けです。
麗乃という名前は回想で定期的に出てくるけどフリガナ無いので脳内では「レノ」って勝手に読んでました。感想書こうかなと読みなおしたら「うらの」と気付く。そして苗字は第一話で軽く出るだけで今後は出ません。
異世界で丁度命を失う「マイン(5歳)」に憑依するようなカタチで記憶や言葉、命を引き継ぎます。
異世界転生モノの良い所は戸籍がしっかりしているんですよね。
異世界召喚モノだといつまでも旅人。
転生モノなのでちゃんと家族がいる。
父 兵士のギュンター
母 染色職人のエーファ
姉 トゥーリ
4人家族。
そんな中で 末娘のマインとして生きます。
中世ヨーロッパの生活① ~典型的な庶民の一生~/historiai
http://histori-ai.net/archives/487
この記事とかが近いのかもしれない。
中世ヨーロッパ風の文化レベル。
そんな感じの世界。
でもって最初はチート能力はない。
本好きだけど、平民の識字率はとても低くて、商人とかは交易で読み書きできるけど、平民は自分の名前も書けない。
なんだろう。
歴史小説読んでるような。
現地の感覚がとても優しい。
そんな地味な第一部。
なろう小説としては異色です。
2、主人公の行動原理
本好きなマイン。
しかし、当時の世界では本は貴重。識字率も低い。まわりに本どころか文字も無い。
主人公は現代日本の知識を持つけれども5歳の幼女。しかも虚弱体質。
できる範囲で凄い頑張る。
それは「本が無ければ作ればいい」その一念で最初から最後までパワフル。
同人系女性 って感じです!!
粘土板、木簡、竹簡、パピルス・・ さまざまチャレンジして最終的には活版印刷を回し始める。
徐々に世界を動かしていくマイン。
物語最終盤に関わるものも本。
まさしく本好き主人公ならではの活躍。
3、突っ込みどころ
苦手な人はこういうとこかなー、とか思ったのは・・
インクの作り方、とかそんなレシピを前世の記憶とはいえずっと細かく覚えている。
物語の都合だけど記憶しっかりしすぎとは思ってしまった。
なろう小説凄いなぁと思った所は、「本当に丁寧に長く。マインの半生を描いている」とこで。
これが商業誌だったら「冗長だからカット!」とか編集さんの指示飛んでるかもしれない。
でも、まったりゆっくり読みたいのですよ。
なろう小説で同人だからこその大ボリュームだったのかもしれない。
4、インフレーション
「下克上」というタイトルだけあって、マインはどんどん状況が変わっていきます。
それがまたゆっくりゆっくり丁寧で。理由付けもしっかりしていて。物凄い重厚なのです。
1部は平民時代のお話。
自宅と境界の門、郊外の森、商家。それくらいが基本。
2部でお貴族様と平民、みたいな視点になって。
3部で「めちゃエライ雲の上だと思っていた領主」が領主間だと中位の領主で・・
4部で王族とかも絡んで来て。最終的には他国との関係も出てくる。
4部は急にハリーポッターみたいな雰囲気になる。コレがまた楽しい。
そんな中、「貴族では常識」な知識ゼロが現代日本の常識で渡り歩いていく。
異世界だからこそ日本の考えを再び見直すきっかけになるのかもしれない。
作中で『商人聖女』って言葉が出てくるけど。
1部2部で磨かれた「商人としての心構えと考え方」これが最後まで役に立つんですよね。
現代ビジネスマンには楽しい、異世界の島耕作のようなものなのかもしれない。
5、魔法、そして練られた設定
剣と魔法のファンタジー。それがなろう小説には多い。
1部前半では魔法の話が全然出てこない。
それが後半だと魔法と信仰の話が中心になる。
この世界は「平民は魔力微小」「貴族は魔力もち」「魔力量で貴族的には階級や相続にも影響する」そんな世界。
世界の根幹にかかわる魔法のお話に主人公が絡んでいく。
最初はほのぼの系なのにとても濃厚でした。
6、結婚観
マイン(後にローゼマインに改名)は恋をしない。
やたらにリアルな現代の精神年齢22歳→36歳 が主人公。
(肉体的には5歳→14歳)
「同級生のコイバナは架空のコイバナでやり過ごしてた」みたいな。
燃え立つような恋は今までもなかったって主人公。
そんなローゼマインにも結婚の話がいっぱい来る。
貴族といえば結婚。
領地の繋がりもあるし、この世界だと「魔力量」も大事。
結婚の話が本当に多いんだ。考え方がリアルなんだ。
主人公は売れる本を作るために恋話を収集しまくるのだけど・・
「表現がインド映画(肝心な場面は全部神の祈り表現)」であんまり理解できない。
でも他のキャラたちは大喜びで語ってるのが楽しい。
結婚や血族、派閥、そういった「つながり」の話が多種多様に入り乱れる。
凄く丁寧なのでなんというか「女性らしさ」がおおい小説だなぁと。
結果より過程に重きを置いた描写で好き嫌いは分かれるのかもしれないけれども、私は大好きです。
なろう小説というと、「オレツエー」でご都合主義!ってイメージの人はいまだに多いイメージなのだけれども。
本好きの下克上は文芸作品としてとても丁寧な造りだと思う。
なにより「ちゃんと完結している」のが安心。ハッピーエンドですよ!
読み終わって凄い幸せな気分になったので。
気になったら読んでみてください。
~以下、個人の感想(解説ナシ)~
やっぱり、フェルディナンド様はカッコいいんですよ。なんだろう、鬼畜マッドサイエンティスト上司で保護者で理解者ってのは物凄い属性。ローゼマインとの距離感がとても良いよね。あとはダンケルフェルガーの人たちは脳筋ラガーメンって感じでみなさん好感度高い。本編終了後のスピンオフが主人公ハンネローゼ様なのはとても良い。
ヴィルフリートが最初は生意気なクソガキって雰囲気だったのがどんどん成長して大人になっていったのは読んでいて安心しました。
物凄い多量のキャラクターが出てくるけど・・ 生き生きしているなというのが印象深い作品でした。
漫画で1部完結おめでとうございます。
このままNHKとかで全52話のアニメとかになったら嬉しいなぁなんて思ってしまいました。
第一部は冗長なんですけど、オットーさん&ベンノさんに鍛えられて商人の流れがつかめたからこそ後半の活躍が有るわけで。やっぱり大事ですよね。アニメ化したらどういう構成になるのか気になりますよね。
取り敢えず今日はここまで。
普段はTwitterにいます↓
@daizu1977さんをフォロー
※色々書いていくので作品の内容に触れます。私は作品の面白さを損なうようなネタバレはしないつもりですが、ネタバレって否定するタイプの人はまず本編全部読んでください。
本好きの下克上 https://ncode.syosetu.com/n4830bu/
2013年9月から2017年3月まで。3年半の連載で完結しました。
なろう小説は同人である以上、「作者が飽きて完結しない」の作品もあるのですが、本当に多くのファンの応援の中、素晴らしい完結を得ました。なんというかとても爽快な読後感です。
1、設定など
第一話にて。本好きの主人公 「本須 麗乃(もとす うらの)」は大学で司書の資格を取り、図書館に就職も決まった状態で、地震で本に潰されて亡くなります。享年22歳。
まぁ1話で死ぬのはテンプレといえばテンプレ。なろうでは気にしたら負けです。
麗乃という名前は回想で定期的に出てくるけどフリガナ無いので脳内では「レノ」って勝手に読んでました。感想書こうかなと読みなおしたら「うらの」と気付く。そして苗字は第一話で軽く出るだけで今後は出ません。
異世界で丁度命を失う「マイン(5歳)」に憑依するようなカタチで記憶や言葉、命を引き継ぎます。
異世界転生モノの良い所は戸籍がしっかりしているんですよね。
異世界召喚モノだといつまでも旅人。
転生モノなのでちゃんと家族がいる。
父 兵士のギュンター
母 染色職人のエーファ
姉 トゥーリ
4人家族。
そんな中で 末娘のマインとして生きます。
中世ヨーロッパの生活① ~典型的な庶民の一生~/historiai
http://histori-ai.net/archives/487
この記事とかが近いのかもしれない。
中世ヨーロッパ風の文化レベル。
秋に豚を燻製小屋とかで絞めて、薪を用意して、冬は雪に囲まれる。
石畳の道には周りの建物から人糞投げ捨てるような感じ。下町は小汚なくて臭い。
そんな感じの世界。
でもって最初はチート能力はない。
本好きだけど、平民の識字率はとても低くて、商人とかは交易で読み書きできるけど、平民は自分の名前も書けない。
なんだろう。
歴史小説読んでるような。
現地の感覚がとても優しい。
そんな地味な第一部。
なろう小説としては異色です。
2、主人公の行動原理
本好きなマイン。
しかし、当時の世界では本は貴重。識字率も低い。まわりに本どころか文字も無い。
主人公は現代日本の知識を持つけれども5歳の幼女。しかも虚弱体質。
できる範囲で凄い頑張る。
それは「本が無ければ作ればいい」その一念で最初から最後までパワフル。
同人系女性 って感じです!!
粘土板、木簡、竹簡、パピルス・・ さまざまチャレンジして最終的には活版印刷を回し始める。
徐々に世界を動かしていくマイン。
物語最終盤に関わるものも本。
まさしく本好き主人公ならではの活躍。
3、突っ込みどころ
苦手な人はこういうとこかなー、とか思ったのは・・
・やたら専門的な知識を完全暗記しているマイン
インクの作り方、とかそんなレシピを前世の記憶とはいえずっと細かく覚えている。
物語の都合だけど記憶しっかりしすぎとは思ってしまった。
なろう小説凄いなぁと思った所は、「本当に丁寧に長く。マインの半生を描いている」とこで。
これが商業誌だったら「冗長だからカット!」とか編集さんの指示飛んでるかもしれない。
でも、まったりゆっくり読みたいのですよ。
なろう小説で同人だからこその大ボリュームだったのかもしれない。
4、インフレーション
「下克上」というタイトルだけあって、マインはどんどん状況が変わっていきます。
それがまたゆっくりゆっくり丁寧で。理由付けもしっかりしていて。物凄い重厚なのです。
1部は平民時代のお話。
自宅と境界の門、郊外の森、商家。それくらいが基本。
2部でお貴族様と平民、みたいな視点になって。
3部で「めちゃエライ雲の上だと思っていた領主」が領主間だと中位の領主で・・
4部で王族とかも絡んで来て。最終的には他国との関係も出てくる。
4部は急にハリーポッターみたいな雰囲気になる。コレがまた楽しい。
そんな中、「貴族では常識」な知識ゼロが現代日本の常識で渡り歩いていく。
異世界だからこそ日本の考えを再び見直すきっかけになるのかもしれない。
作中で『商人聖女』って言葉が出てくるけど。
1部2部で磨かれた「商人としての心構えと考え方」これが最後まで役に立つんですよね。
現代ビジネスマンには楽しい、異世界の島耕作のようなものなのかもしれない。
5、魔法、そして練られた設定
剣と魔法のファンタジー。それがなろう小説には多い。
1部前半では魔法の話が全然出てこない。
それが後半だと魔法と信仰の話が中心になる。
この世界は「平民は魔力微小」「貴族は魔力もち」「魔力量で貴族的には階級や相続にも影響する」そんな世界。
世界の根幹にかかわる魔法のお話に主人公が絡んでいく。
最初はほのぼの系なのにとても濃厚でした。
6、結婚観
マイン(後にローゼマインに改名)は恋をしない。
やたらにリアルな現代の精神年齢22歳→36歳 が主人公。
(肉体的には5歳→14歳)
「同級生のコイバナは架空のコイバナでやり過ごしてた」みたいな。
燃え立つような恋は今までもなかったって主人公。
そんなローゼマインにも結婚の話がいっぱい来る。
貴族といえば結婚。
領地の繋がりもあるし、この世界だと「魔力量」も大事。
結婚の話が本当に多いんだ。考え方がリアルなんだ。
主人公は売れる本を作るために恋話を収集しまくるのだけど・・
「表現がインド映画(肝心な場面は全部神の祈り表現)」であんまり理解できない。
でも他のキャラたちは大喜びで語ってるのが楽しい。
領地間の関係での政略結婚。
外交の第一婦人、派閥を抑える第二婦人。
魔力量、階級の関係で結婚できない苦労人下級貴族。
王命で他領地へ結婚のために移動される人。
殿方を足払いで押し倒し求婚する風習のある土地w
結婚や血族、派閥、そういった「つながり」の話が多種多様に入り乱れる。
凄く丁寧なのでなんというか「女性らしさ」がおおい小説だなぁと。
結果より過程に重きを置いた描写で好き嫌いは分かれるのかもしれないけれども、私は大好きです。
なろう小説というと、「オレツエー」でご都合主義!ってイメージの人はいまだに多いイメージなのだけれども。
本好きの下克上は文芸作品としてとても丁寧な造りだと思う。
なにより「ちゃんと完結している」のが安心。ハッピーエンドですよ!
読み終わって凄い幸せな気分になったので。
気になったら読んでみてください。
~以下、個人の感想(解説ナシ)~
やっぱり、フェルディナンド様はカッコいいんですよ。なんだろう、鬼畜マッドサイエンティスト上司で保護者で理解者ってのは物凄い属性。ローゼマインとの距離感がとても良いよね。あとはダンケルフェルガーの人たちは脳筋ラガーメンって感じでみなさん好感度高い。本編終了後のスピンオフが主人公ハンネローゼ様なのはとても良い。
ヴィルフリートが最初は生意気なクソガキって雰囲気だったのがどんどん成長して大人になっていったのは読んでいて安心しました。
物凄い多量のキャラクターが出てくるけど・・ 生き生きしているなというのが印象深い作品でした。
漫画で1部完結おめでとうございます。
このままNHKとかで全52話のアニメとかになったら嬉しいなぁなんて思ってしまいました。
第一部は冗長なんですけど、オットーさん&ベンノさんに鍛えられて商人の流れがつかめたからこそ後半の活躍が有るわけで。やっぱり大事ですよね。アニメ化したらどういう構成になるのか気になりますよね。
取り敢えず今日はここまで。
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